遠くの土地に生まれながらも、人と人とを引きつけて、新しい人生を歩ませる。そんな不思議な力が湘南にはある。村上英範さんは静岡・浜松、奥様の五十鈴さんは北海道・帯広出身。二人は熱心なサーファー。五十鈴さんは、海辺の町を転々として波乗りを楽しんでいたが、10年ほど前から鵠沼海岸で暮らすように。「自分で何か始めたいと思っていたので、海と街が近い湘南は一番バランスがいいと思って」と、バーをオープン。すぐに、地元の人気店に。そして、5年前、英範さんは五十鈴さんを追うように湘南へ。当時、五十鈴さんが、浜松で開催されたサーフィン大会に出場して優勝。英範さんは、その姿にひと目ぼれ。仕事で湘南に足を運ぶことも多く、五十鈴さんの店へ顔を出すように。それが縁で一緒に海に行くようになり絆を深めた。「鵠沼は、サーフィンが日々の暮らしとともにありますね」と英範さん。大波を目前に「この波に乗って帰ってこれたら、結婚してくれ」とサーファーらしい(!?)プロポーズで結ばれた。虹来(にき)ちゃんが生まれ家族も増え、休日は鵠沼海岸のビーチで海遊び。時にはサーフィン仲間が加わることも。「鵠沼は本当に『家』みたい。今、結構、幸せです」と微笑む五十鈴さん。三人の笑い声を波音が包む。
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