葉山の海は、湘南の中でも、とりわけ豊かな表情を見せる。美しい小さな砂浜が連なり、磯では波が岩を洗う。水は澄み、生き物達が命を育み、太陽の光が白砂に降り注ぐ。そして、青空にこだまする子供達の笑い声。「小学校のころから、海が遊び場でしたね」とは、生まれも育ちも葉山のロコボーイ中村蓮さんだ。学校が終わると友達と一目散にビーチへ。母親が海の家を営んでいたので、ランドセルを置き海パンに着替えて海へ、バシャン! 海は年齢を超えて、子供達をひきつける。「中学生のお兄さん達にすごくかわいがってもらいました」。素潜りをしたり、岩場から飛び込んだり、波に乗ったり、海での遊び方や危険を教えてもらった。そして、自分が上級生になってからは次の世代へ……。こうして、葉山のロコボーイの伝統は脈々と受け継がれていくのだ。高校最後の夏、数年に一度の伝説的な大波に乗ることができたと誇らしげに語る中村さん。卒業後の今は地元で働いている。「いろいろな経験をしたいですが、やっぱり最終的には葉山で生活したいです」。今年20回目の夏を迎える中村さん。葉山は遊びの場から、暮らしの場へ、変わっていく。
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