健康的に日焼けした肌がよく似合う晶あきらさん。端正な顔つきながら、その目には凛とした力強さが宿る。
晶さんは、葉山でただ一人の女性漁師。地元で生まれ育ち、幼いころから海とともに暮らしてきた。東京で働いたこともあったが、人間関係が希薄な都会が肌に合わず、葉山の海に呼び戻されるように帰ってきた。
四季折々の海の恵みを求めて、一人舟に乗り海に出る。厳しい暑さ寒さの中で、黙々と漁をする。屈強な男性でも根を上げる重労働で、年々漁師は減っている。だが、晶さんが海から離れることはない。自然から糧を得られる喜びとともに、人と人をつなげたいから。
「仲間と土日限定ですが魚屋を始めるんです。今、町には魚屋がないんですよ。もっと地元の方に葉山の魚を食べていただき、漁師と住民のつながりが深まれば……。みんなで町を盛り上げたいですね」
昨年、寛之さんと結婚。花男くんも誕生して家族も増えた。
「大変な仕事だけど、跡を継いでくれたらうれしい」
さまざまな人の思いを胸に、今日も晶さんは海に向かう。