実に仲がいい夫婦だ。似たような雰囲気を醸し出しているのは、長年のつき合いからか。宮井和郎さんと奥様のありささんは高校の同級生。当時は仲の良い友人同士だったが、数年後にクラフト時計職人として活躍するありささんの個展で再会。やがて、地元の横浜を離れて東京で一緒に暮らすようになった。共通の友人が住んでいたことで鵠沼海岸に遊びにくるように。のんびりとした空気が肌に合い移住を決意。今では、ここで生まれ育った子どもは大学生と高校生になる。7年前、二人は名字「宮井」を冠した店をオープンした。場所は古き良き鵠沼海岸商店街。和郎さんは生花店に勤めていたが独立して花屋を。ありささんはクラフト時計を販売。一つ屋根の下、夫婦で店を構えることに。店のコンセプトは? 「特にありません。無理をせず、自由に好きなように……」と二人は口をそろえる。自然体で力は抜けているが、仕事には真摯に向き合う。そのセンスと人柄で、地元はもちろん遠方からもオーダーが入る。「長く一緒にいるけど、ついこの前に会った感じです」と言うありささんに、和郎さんは「それじゃあ、他人じゃん」とやさしく笑い返す。店もどこか懐かしいたたずまいながら、日々、新しい魅力がある。「長く続けていきたい」と二人は願う。
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